
「入社1年目 転職したい」と検索したあなたへ。入ったばかりなのに辞めたいと思う自分を、責めている人もいると思います。この記事では、国の数字と人事の見方で、1年目で動いていい人と、もう少し待った方がいい人を分けます。
✔ 結論
1年目で転職を考える人は、めずらしくありません。2023年3月に大学を出て就職した人のうち、1年目のうちに辞めた人は11.0%でした(厚生労働省が2026年10月に公表)。
ただ、1年目は「今動いた方がいい人」と「もう少し待った方がいい人」に分かれます。
分かれ目は、何が嫌なのかを自分の言葉で言えるかどうかです。
目次
1. 入社1年目で辞める人は、どれくらいいるか
まず、1年目で辞める人がどれくらいいるかを、国の数字で確かめます。
大学を出て就職した人の11.0%が、1年目に辞めている
厚生労働省は、毎年、学校を出て就職した人が3年以内に辞めた割合を出しています。2023年3月に大学を出て就職した人では、次のとおりでした。
- 1年目に辞めた人:11.0%
- 2年目に辞めた人:10.9%
- 3年目に辞めた人:9.3%
- 3年以内に辞めた人の合計:31.2%
1年目に辞めた人の割合は、2年目・3年目と比べて、特に高いわけではありません。
出どころ:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)を公表します」(2026年10月23日公表)/同 別紙1
高校・短大などを出た人は
同じ発表で、3年以内に辞めた人の割合は、高校を出て就職した人で36.9%、短大などを出て就職した人で43.1%でした。
出どころ:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)を公表します」(2026年10月23日公表)
どの学校を出た人でも、3年以内に辞める人は少なくありません。
会社の大きさでも、辞める人の割合は違う
3年以内に辞めた人の割合は、働く人が1,000人以上の職場では24.2%でした。働く人が5人未満の職場では、58.2%でした。大きな会社に入った人でも、4人に1人近くが3年以内に辞めています。
最初の会社を辞めた理由で多いのは
厚生労働省の「若年者雇用実態調査」(2023年10月時点・15〜34歳の働く人が対象)では、最初に勤めた会社を辞めた理由(3つまで選ぶ)は、次の順でした。
- 1位:労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった(28.5%)
- 2位:人間関係がよくなかった(26.4%)
出どころ:厚生労働省「令和5年『若年者雇用実態調査』の結果を公表します」(2024年9月25日)
働く時間や休みが合わなくて辞める人が、一番多いということです。
2. 「入社1年目で転職したい」と思うのは、おかしいことか
辞めた人だけでなく、「転職したい」と思っている人の数も、国の調査で分かっています。
転職したいと思っている若い正社員は、31.2%
同じ「若年者雇用実態調査」では、これから転職したいと思っている若い正社員(15〜34歳)は31.2%でした(前回の2018年の調査では27.6%)。※大学を出た人の3年以内の離職率(31.2%)とは、別の調査の数字です。転職を考えること自体は、めずらしいことではありません。
転職したい理由で多いのは
転職したい理由(いくつでも選ぶ)は、次の順でした。
- 1位:給料の条件がよい会社に変わりたい(59.9%)
- 2位:労働時間・休日・休暇の条件がよい会社に変わりたい(50.0%)
出どころ:厚生労働省「令和5年『若年者雇用実態調査』の結果を公表します」(2024年9月25日)
あなたが辞めたい理由も、このどちらかに近いかもしれません。
「1年目の転職は甘え」と言われる理由
1年目で辞めたいと言うと、「甘え」と言われることがあります。そう言われやすいのは、辞めたい理由がはっきりしないときです。「なんとなくしんどい」だけだと、周りの人は「どこに行っても同じでは」と考えます。
逆に、「休みの日にも毎週呼び出される」のように理由がはっきりしていれば、甘えではなく、条件が合わないという話になります。
辞めたいと思ったときに、書き出したい3つ
辞めたい気持ちが強いときほど、理由がぼんやりしやすくなります。次の3つを、紙やスマホのメモに書き出してみてください。
- 今の会社で、何が一番しんどいか
- それは、会社を変えないと変わらないことか
- 次の会社にそれが無いことを、どうやって確かめるか
3つ目まで書けたら、面接で話す内容もほぼできています。2つ目で「部署が変われば変わるかも」と思ったら、先に上司や人事に相談してみるのも1つの方法です。
💡 ポイント
1年目で辞めたいと思うこと自体は、めずらしくありません。「甘え」に見えるかどうかは、辞めたい理由がはっきりしているかで変わります。
3. 1年目で転職すると、面接で何を聞かれるか
ここからは、元人材会社の担当として、1年目で転職する人が面接でどう見られるかを書きます。
話せる仕事の経験は、多くない
1年目で辞めた人は、働いた期間が短いです。そのため、前の会社でした仕事について、話せることは多くありません。研修が中心で、まだ一人で仕事を任されていない人もいると思います。
人事は「うちでもすぐ辞めないか」を見ている
元人材会社のキャリアアドバイザー
芝山 駿
人材会社にいたときに見てきた中では、第二新卒の採用は、今の力よりもこれからを見る採用でした。
それでも面接では、前の会社を辞めた理由をよく聞かれます。
人事は、「この人は、うちでもすぐ辞めないか」を気にしているからです。
1年目で辞めた人は、この点を特に見られます。
人と話す力は、新卒と同じように見られる
もう1つ見られるのは、人と話す力です。ここは、新卒の採用と同じです。聞かれたことに、短く、事実で答えられるかが見られます。
仕事の経験が少ない分、話し方で「一緒に働けそうか」を判断されます。
よく聞かれる質問
1年目で転職する人が面接でよく聞かれるのは、次のような質問です。
- なぜ、今の会社を辞めようと思ったのか
- その理由は、うちの会社なら起きないのか
- 今の会社で、どんな仕事をしてきたか
- 次の会社では、どう働きたいか
どれも、「うちでもすぐ辞めないか」を確かめるための質問です。1つ目と2つ目への答えがつながっていれば、残りの質問にも答えやすくなります。
4. 「入社1年目の転職は不利?」
不利になりやすいのは、辞めた理由に答えられないとき
働いた経験の長さで比べると、1年目の人は短いです。ただ、第二新卒の採用では、経験の長さよりもこれからを見る会社があります。不利になりやすいのは、辞めた理由を聞かれて、うまく答えられないときです。
たとえば「なんとなく合わなかった」だけだと、人事は「うちでも合わないかもしれない」と考えます。
辞めた理由と、次の会社を選んだ理由をつなげる
「何が合わなかったか」と「次の会社ではそれが無いか」がつながっていると、人事は安心します。たとえば、次のような話し方です。「休みの日にも連絡が来る働き方が合いませんでした。上司に相談しましたが、変わりませんでした。御社は面接で休みの日数と働き方を説明してくださったので、応募しました。」
前の会社の悪口だけで終わらせず、「だから次はこうしたい」までつなげてください。
1年目の経験は、小さくても話せる
1年目でも、覚えたことや工夫したことはあるはずです。研修で覚えたこと、先輩に言われて直したこと、自分で決めて続けたことなど、事実で話せば十分です。大きな成果がなくても、それだけで落とされるわけではありません。
受けていい会社の見分け方
次のことに具体的に答えてくれる会社は、1年目で辞めた人を受け入れる準備ができています。
- 入ってから最初の数か月、何をするのか
- 未経験の仕事なら、誰に、どう教わるのか
- 残業は、月に何時間くらいか
- あなたが前の会社を辞めた理由を、面接で聞いてくれるか
辞めた理由を聞く会社は、同じ理由で辞めない人かを確かめようとしています。それは、入ったあとに長く働いてほしいと考えている、ということです。
💡 ポイント
1年目の転職で不利になるのは、期間の短さより、辞めた理由に答えられないときです。
5. 待った方がいい人と、動いていい人
1年目の転職は、全員が今すぐ動くべきものではありません。人事の見方から、待った方がいい人と動いていい人を分けます。
もう少し待った方がいい人
- 今の会社の何が嫌なのかを、自分でもまだ言えない人
- 嫌なことが今の部署だけで、部署が変われば無くなるかもしれない人
- まだ研修中で、配属先の仕事をしていない人
配属されてから変わることもあります。何が嫌かを言えないまま動くと、面接で辞めた理由を聞かれたときに答えられません。
今動いていい人
- 辞めたい理由がはっきりしていて、次の会社でそれが無いかを確かめられる人
- 今の仕事を続けるより、別の仕事を早く覚えたいと考えている人
- 働く時間や休みの条件が、今の会社ではどうしても変わらない人
体調を崩しているときは、先に休む
眠れない、朝起きられない、などの体調の変化があるときは、転職より先に、休むことと、医師への相談を優先してください。体調が悪いまま転職活動をすると、面接でも力を出しにくくなります。
辞める前に探すか、辞めてから探すか
今の会社にいながら次を探すと、給料が途切れません。辞めてから探すと、面接の日程は合わせやすくなります。どちらがいいかは、あなたの貯金や体調によって変わります。
1年目の人は、次の章に書くお金の決まりも見てから決めてください。
💡 ポイント
何が嫌なのかを自分の言葉で言える人は、今動いていい人です。言えないうちは、もう少し待った方が、次の会社選びで失敗しにくくなります。
6. 辞める前に知っておきたい、お金と休みの決まり
1年目で辞めるときは、働いた期間が短い分、お金と休みの決まりで困ることがあります。辞めると決める前に確かめておきたいことを書きます。
失業手当は、働いた期間が足りないともらえないことがある
会社を辞めて仕事を探している間は、雇用保険から「基本手当」(いわゆる失業手当)が出ることがあります。ただし、もらうには働いた期間の条件があります。
- 自分の都合で辞めた場合:辞めた日の前の2年間に、雇用保険に入っていた期間が合わせて12か月以上
- 倒産や解雇などで辞めた場合など:辞めた日の前の1年間に、合わせて6か月以上
出どころ:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
入社1年目で、学生のときに雇用保険に入っていなかった人は、自分の都合で辞めると12か月に届かないことがあります。自分が当てはまるかどうかは、ハローワークで確かめてください。
もらえる1日あたりの金額は、辞める前の6か月の給料(ボーナスを除く)を180で割った金額の、およそ50〜80%です。30歳未満の人の1日あたりの上限は7,450円です(2026年8月1日時点)。
自分の都合で辞めると、手当が出るまでに1か月待つ
正当な理由がなく自分の都合で辞めた場合は、手当が出ない期間(給付制限)があります。2025年4月1日以降に辞めた人は、この期間が原則1か月になりました(それより前は原則2か月)。
出どころ:岩手労働局・ハローワーク「令和7年4月1日以降に離職された方は『給付制限期間』が1か月に短縮されます」
辞めてから探す人は、この期間の生活費も考えておく必要があります。
有給休暇は、入社して6か月で10日
法律では、入社してから6か月続けて働き、決められた日の8割以上出勤した人には、10日の有給休暇が与えられることになっています。
1年目でも、入社して6か月を過ぎて、決められた日の8割以上出勤していれば、有給休暇があります。
辞めると伝えてから、辞められるまで
法律(民法)では、期間の決まりがない雇用は、辞めると申し入れてから2週間たつと終わる、と決まっています。
出どころ:民法 第627条(e-Gov法令検索)
ただ、会社の決まり(就業規則)に「1か月前までに伝える」などと書いてある会社もあります。先に就業規則を確かめて、決めたら早めに伝えると、もめにくくなります。
入社1年目の転職でよくある質問
まとめ
- 2023年3月に大学を出て就職した人の11.0%が、1年目に辞めています(厚生労働省)。
- 最初の会社を辞めた理由で一番多いのは、働く時間や休みの条件でした。
- 面接では、前の会社を辞めた理由をよく聞かれます。
- 辞めた理由と、次の会社を選んだ理由がつながっていれば、1年目でも受けられる会社はあります。
- 何が嫌かを言えないうちは、もう少し待った方がいいです。
- 辞める前に、失業手当の条件・有給休暇・会社の決まりを確かめておくと安心です。
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この記事を書いた人
Against株式会社 代表 芝山 駿
大手の人材会社2社で、約5年間キャリアアドバイザーとして働いてきました。
新卒と中途の両方で、1万人以上の就活・転職の相談を受けてきました。
その経験から、人事が本当に見ているところを書いています。







