
「it 未経験 転職 やめとけ」と検索したあなたへ。ITに興味はあるけれど、「やめとけ」という声を見て迷っている人に向けて書きました。
✔ 結論
IT未経験の転職は、合う人と合わない人がはっきり分かれます。未経験だから無理、という仕事ではありません。
ハローワークでは、ITの技術者の求人は、仕事を探す人1人あたり1.48件でした。全部の仕事の平均(1.18件)より多いです(厚生労働省・2026年9月)。
入る前に「最初の仕事」「研修」「働く場所」を確かめれば、失敗しにくくなります。
目次
1. IT未経験の転職は「やめとけ」?まず数字で見る
ITの技術者は、求人が平均より多い
「有効求人倍率」は、仕事を探している人1人に対して、求人が何件あるかを表す数字です。1より大きいと、仕事を探している人より、求人の方が多いということです。2026年9月の数字(パートを除く)は、次のとおりでした。
| 仕事 | 求人 | 仕事を探している人 | 1人あたりの求人 |
|---|---|---|---|
| IT(情報処理・通信の技術者) | 5万702件 | 3万4,175人 | 1.48件 |
| 全部の仕事 | 133万5,418件 | 112万8,865人 | 1.18件 |
ITの技術者は、探している人より、求人の方が多い仕事です。
出どころ:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」(2026年10月30日公表)の参考統計表
新しい求人も、前の年より増えている
同じ発表では、2026年9月に新しく出た求人の数を、業界ごとに前の年の9月と比べています。情報通信業の新しい求人は、5.9%増えていました。同じ月に、卸売業・小売業の新しい求人は6.3%減っていました。
業界によって、人を採ろうとする動きには差があります。情報通信業には、ITの会社のほか、通信・放送・出版などの会社も入っています。
3年以内に辞める人は、平均より少ない
2023年3月に大学を出て就職した人のうち、3年以内に辞めた人は、全部の業界で31.2%でした。情報通信業では、25.5%でした。ほかの業界では、宿泊・飲食サービス業が49.9%、小売業が38.1%でした。
「ITはすぐ辞める人が多い」と言われることがありますが、国の数字では、平均より少ない業界です。
出どころ:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)を公表します」(2026年10月23日公表)/同 別紙3
数字を見るときの注意
求人の数字は、ハローワークに出ている求人だけで数えています。転職サイトや人材会社の求人は入っていません。また、この求人の中には、経験者だけを募集している求人も入っています。
「求人が多い=未経験でもすぐ入れる」という意味ではないので、注意してください。
2. 「ITの仕事」には、いろいろな仕事がある
国の分け方で見る、ITの仕事
国の職業の分け方では、ITの技術者には、次のような仕事が入っています。
- ソフトウェアを作る仕事(Webのサービスや、機械を動かすプログラムなど)
- プログラマー
- ITシステムの設計
- ITシステムの運用(システムが止まらないように見守る仕事)
- ITヘルプデスク(パソコンやシステムの困りごとに答える仕事)
- 通信ネットワークの技術者
「IT」と一言で言っても、仕事の中身はかなり違います。
最初の仕事が「作る仕事」とは限らない
未経験の求人の中には、プログラムを作る仕事から始まらないものもあります。たとえば、作ったものが正しく動くかを確かめる仕事から始まる求人があります。ヘルプデスクや、システムの運用から始まる求人もあります。
どれもITの仕事ですが、思っていた仕事と違うと感じる人もいます。
自分の会社で働くか、お客さんの会社で働くか
ITの仕事には、自分の会社ではなく、お客さんの会社に行って働く形もあります。この働き方を「客先常駐」と言います。客先常駐では、働く場所や一緒に働く人が、仕事ごとに変わることがあります。
これが合う人もいれば、合わない人もいます。最初に働く場所がどこになるかは、応募する前に確かめてください。
求人でよく見る、働き方の言葉
ITの求人では、会社の働き方を表す言葉がよく出てきます。
- 自社開発:自分の会社のサービスやシステムを作る働き方
- 受託開発:お客さんから頼まれたシステムを、自分の会社で作る働き方
- SES:技術者がお客さんの会社に行って、そこで働く契約の形
同じ「ITエンジニア」の求人でも、どの働き方かで、毎日働く場所や、一緒に働く人が変わります。求人票や面接で、どの働き方の会社なのかを確かめてください。
3. 「やめとけ」と言われる理由と、本当のところ
入ってからも、勉強が続く
ITの仕事は、使う技術が変わっていきます。そのため、働き始めてからも、新しく覚えることがあります。仕事が終わった後や休みの日に、自分で調べる時間が必要になることもあります。
勉強が続く人には合いますが、続かない人にはつらく感じやすい仕事です。
思っていた仕事と違うことがある
「やめとけ」と言われる理由で多いのは、入ってから「思っていたのと違う」と感じること(ギャップ)です。作る仕事をしたくて入ったのに、確かめる仕事が長く続くと、つらく感じます。在宅で働けると思っていたのに、毎日お客さんの会社に通うこともあります。
どれも、入る前に聞けば分かることです。
「きつい」と感じやすい場面
きついと感じやすいのは、分からないことを1人で抱えたときです。未経験で入ると、最初は分からないことばかりです。聞ける先輩がいない現場に1人で行くと、仕事を覚えるのに時間がかかります。
入る前に、分からないときに誰に聞けばいいのかを確かめておくと、防ぎやすくなります。
給料や残業は、求人票の書き方で確かめる
ギャップは、給料や残業でも起きます。2024年4月から、会社は求人票で、働く場所と仕事の中身について「入ってすぐ」と「これから変わる可能性がある範囲」の両方を書くことになりました。月給の中に、決まった時間分の残業代を先に入れている会社(固定残業代)は、何時間分でいくらかを書くことになっています。
求人票に書いていないことは、原則、面接などで最初に会うときまでに伝えることになっています。分からないことは、面接で聞いて大丈夫です。
出どころ:厚生労働省「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!」(2024年4月1日施行)
💡 ポイント
「やめとけ」と言われる理由の多くは、入ってからのギャップです。
最初の仕事・働く場所・聞ける人を入る前に確かめれば、ギャップは小さくできます。
4. 会社は、未経験の人のどこを見ているか
なぜITの仕事を選ぶのかを話せるか
未経験の求人は、入ってから仕事を覚えることが前提になっています。そのため会社は、今の知識より、続けてくれそうかを見ます。最初に聞かれやすいのは、なぜITの仕事を選ぶのかです。
「求人が多いから」だけだと、人事は「ほかに求人が多い仕事が出てきたら、そちらに行くかもしれない」と考えます。前の仕事で、ITに興味を持ったきっかけがあれば、それを話してください。たとえば「毎日の手作業を、表計算のしくみで速くできたのがうれしかった」のような話です。
きっかけが小さくても、自分で体験したことなら、人事は理由を信じやすくなります。
自分で調べて、覚え続けられるか
面接では、「今どんな勉強をしているか」を聞かれやすいです。もう勉強を始めている人は、その中身をそのまま話せます。何を使って、どれくらいの期間、何を作ったかまで話せると、人事は様子を想像しやすくなります。
分からないことを、人に聞けるか
未経験で入ると、最初は分からないことだらけです。そのため、分からないことを、そのままにせず人に聞けるかも見られます。前の仕事で、分からないことをどう解決してきたかを話せるようにしておいてください。
第二新卒は、これからを見る採用
元人材会社のキャリアアドバイザー
芝山 駿
人材会社にいたときに見てきた中では、第二新卒(学校を出て数年以内に転職する人)の採用は、今の力よりも、これからを見る採用でした。
それでも、前の会社を辞めた理由はよく聞かれます。
人と話す力は、新卒の採用と同じように見られます。
ITの仕事でも、お客さんや同じチームの人と話す場面は多いからです。
💡 ポイント
未経験の人が面接で見られるのは、今の知識より「続けてくれそうか」です。
なぜITか・今どんな勉強をしているか・分からないときどうしてきたか、の3つを話せるようにしておいてください。
5. 向かない人と、動いていい人
向かない人
- 「在宅で働けそう」「楽そう」だけが理由の人
- 調べものをするのが、どうしても続かない人
- 最初は確かめる仕事から始まるなら、ITでなくていいと思う人
「在宅」や「楽そう」だけが理由だと、入ってから勉強が続く毎日とのギャップが大きくなります。在宅で働けるかどうかは、会社や仕事によって違います。在宅で働きたい人は、入ってすぐから在宅なのか、何年かたってからなのかを確かめてください。
動いていい人
- もう勉強を始めていて、続いている人
- 最初は確かめる仕事から始まっても、その先の仕事に向けて覚えていける人
- なぜITを選ぶのかを、自分の言葉で話せる人
3つとも当てはまらなくても大丈夫です。1つ目の「勉強を始めていて、続いている」は、今日からでも始められます。
迷っている人は、まず少し勉強してみる
向いているかどうかは、やってみないと分からないことがあります。迷っている人は、応募する前に、無料の教材などで少し勉強してみてください。続けられたら、その中身を面接でそのまま話せます。
続かなかった場合も、それが分かったこと自体が、仕事選びの材料になります。
国の無料の職業訓練(ハロートレーニング)もある
国には、仕事を探している人が、無料で仕事のスキルを学べる職業訓練があります。「ハロートレーニング」という名前で、テキスト代などは自分で払います。訓練の期間は、だいたい3か月から2年です。
厚生労働省のページでは、訓練の例として「情報処理科」が挙げられています。受けるには、ハローワークで仕事探しの申し込みをして、相談することから始めます。主に、仕事を辞めて次の仕事を探している人向けの制度です。
雇用保険の失業手当を受けられない人向けの訓練(求職者支援訓練)もあります。こちらは、決められた条件を満たすと、訓練を受けている間に給付金を受け取れます。
出どころ:厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」/厚生労働省「ハロートレーニングについて知る」
6. 入っていい会社の見分け方
面接で聞くこと
面接では、次のことを聞いてみてください。
- 入ってから最初の数か月、何をするのか
- 研修はあるか。何を、どれくらいの期間で教わるのか
- 最初に働く場所は、自分の会社か、お客さんの会社か
- 分からないとき、誰に聞けばいいのか
- 残業は、月に何時間くらいか
これに具体的に答えられる会社は、未経験の人を育てる準備ができています。
求人票で見ること
求人票では、仕事の中身が具体的に書かれているかを見てください。「ITエンジニア」とだけ書かれていて、何をするのかが分からない求人もあります。その場合は、応募する前に、最初の仕事を聞いてから決めてください。
働く場所の欄も見てください。上で書いたとおり、今の求人票には、働く場所の「これから変わる可能性がある範囲」も書かれています。ここに「お客さんの会社」のように書かれていれば、客先常駐になる可能性があります。
答えがあいまいな会社は、もう一度確かめる
面接で聞いても、最初の仕事や働く場所の答えがあいまいな会社もあります。その場合は、入る前にもう一度確かめた方が安全です。確かめても答えが変わらないときは、ほかの会社と比べてから決めてください。
年齢の上限が書かれた求人もある
求人で年齢を条件にすることは、法律で原則禁止されています。ただし例外があります。正社員として長く働いてもらい、育てるために若い人を募集するときは、年齢の上限を書いてよいことになっています。
未経験の求人には、この例外を使って、年齢の上限を書いているものもあります。
出どころ:ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」
💡 ポイント
入っていい会社かどうかは、最初の仕事・研修・働く場所・聞ける人の4つで見分けられます。
4つに具体的に答えられる会社は、未経験の人を受け入れる準備ができています。
IT未経験の転職でよくある質問
まとめ
- IT未経験の転職は、合う人と合わない人が分かれます。未経験だから無理、という仕事ではありません。
- ITの技術者の求人は、仕事を探す人1人あたり1.48件で、平均より多いです(厚生労働省・2026年9月)。
- 情報通信業で3年以内に辞めた人は25.5%で、全部の業界の31.2%より少ないです(厚生労働省・2023年3月大卒)。
- 入る前に、最初の仕事・研修・働く場所・聞ける人を確かめれば、会社の準備が分かります。
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この記事を書いた人
Against株式会社 代表 芝山 駿
大手の人材会社2社で、約5年間キャリアアドバイザーとして働いてきました。
新卒と中途の両方で、1万人以上の就活・転職の相談を受けてきました。
その経験から、人事が本当に見ているところを書いています。







